以前より日本のアニメやゲームは海外でも高い人気を博していましたが、近年では実写の映画やドラマ作品などへの評価や関心も上昇傾向にあります。それらの作品群を海外展開するには言うまでもなく、脚本のローカライズ(翻訳)を適切に行うことが不可欠です。とりわけ日本の文化や習慣に対する理解不足が原因で誤訳や不適切な表現がなされることは、避けなければなりません。本ページでは日本語の脚本をローカライズする際のプロセスや配慮すべきポイントなどをとりまとめてご紹介しています。
ローカライズはよく翻訳と同一視されてしまいがちですが、両者には明確に異なる点があります。簡単に言えば、翻訳は原文の意味を正確に伝えることを重視しており、場合によっては注釈文や説明文なども追加します。対してローカライズは日本ならびに翻訳する言語を用いる国々の文化や慣習、国民性なども考慮して適切な言語を用いるということが重視されます。ローカライズの定義については、以下のページで詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
では、元々日本語で作成されている映画やドラマなどの脚本が、どのような流れを経て、対象となる言語の言葉として生まれ変わっていくのでしょうか?
あくまでも一例であり方法が異なる場合もありますが、主なプロセスは以下の通りです。
まずは日本語の脚本をベースに、対象となる言語への翻訳を行っていきます。その際はいわゆる直訳ではなく、キャラクターの性格や人間関係、物語の時代背景、文化的なバックグラウンドなども深く理解した上で翻訳を進めていきます。またキャラクターごとに、語尾や口調などに一貫性を持たせるトーン&マナーの確保も行われます。
上記の手順で翻訳された脚本をベースに、今度は字幕向け、または吹き替え向けに応じた調整作業を行っていきます。例えば字幕向けであれば、視聴者が無理なく読める文字数(1秒あたり4文字程度)となるように要約や推敲が行われます。吹き替え向けであれば、登場人物の口の動きや息継ぎをするタイミングに合わせてセリフが調整されます。
翻訳する言語を用いる国や地域の文化、宗教、法律、トレンドに合わせた表現の最適化(カルチャライズ)も重要な工程になります。例えばイスラム圏向けであれば、飲酒や女性の服装などに関する表現に配慮が求められます。また対象言語のネイティブスピーカーなどに依頼して、流れや言い回しなどに問題がないかの最終チェックを行います。
そもそも映画やドラマというものには演出意図や物語の伏線、登場人物の感情の機微といったものがふんだんに盛り込まれています。高いレベルのローカライズ品質を実現するには、それらを深く、正しく読み解く力が求められます。
その上で言葉の引き出しの多さも重要です。例えば現地の流行語やスラングを適宜織り交ぜたり、時代劇に昔の言葉遣いを用いるといった表現力があれば、ローカライズ品質は向上します。
加えて、ローカライズを依頼する業者の体制も要チェック。例えば翻訳者が一人ですべてを行う所よりも、ディレクターや校正者なども交えて、チームの共同作業でチェックする体制を整えている業者が望ましいと言えます。
ローカライズ作業を委託する業者はどのように選ぶべきか、頭を悩ませている方も少なくないことでしょう。以下に、外注先を選ぶ際にチェックしておくべきポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
まずはローカライズ作業を依頼する業者への問い合わせから始め、作品の概要やターゲット層、希望納期などの確認を行います。
その上で、業者から提示される見積もりや提案内容、スケジュールなどを検討します。また必要に応じて試訳・トライアルを実施してみるとよいでしょう。問題なければ本翻訳・制作へと移行。進捗報告を交えながらのローカライズ実務が進行します。
作業が完了し最終確認と納品が行われたらひと段落となりますが、修正対応などが必要となる場合に備え、アフターフォローなどのサポート体制を確認しておくとよいでしょう。
以上の通り、映画やドラマの脚本ローカライズは高いレベルのクリエイティブ作業であり、日本と海外の文化交流を大きく左右する鍵と言えます。それこそ言葉の壁を越えて、世界中の観客の心を動かす、感動させるための架け橋なのです。この点をしっかり踏まえた上で、脚本ローカライズを依頼する際は、信頼できる外注先をしっかりと見極めることが重要です。