ここでは、ターゲットとなる市場の言語や文化、消費者の嗜好、法規制などに合わせて戦略を最適化する「ローカライズマーケティング」について解説しています。ローカライズマーケティングの成功事例も掲載しているので、参考にしてみてください。
海外市場で製品やサービスを売り込む場合、製品やサービスの魅力を単に直訳するだけでは、その魅力を十分に伝えることはできません。国や地域ごとに好まれるデザインや価値観が異なるため、どのポイントを「魅力」として打ち出すべきか変わってきます。
ローカライズマーケティングを行うことで、ターゲット市場の消費者に適したメッセージやビジュアルを提供でき、結果として認知度アップやファンコミュニティ形成につながるでしょう。信頼や愛着が育まれることで、ブランドロイヤルティの向上も期待できます。
海外ユーザーに向けたプロモーション手段は、日本国内のやり方をそのまま流用しても高い効果は得られません。これは、文化や習慣、よく利用されるプラットフォーム、SNSのトレンドなどが国によって違うためです。
ローカライズを適切に行えば、現地の文化や消費者の嗜好に合わせたプロモーションが可能になります。その結果、海外展開の成功率を高められるでしょう。
ローカライズマーケティングを行うことで、現地の言語や文化に配慮したメッセージを発信できるため、ユーザーが「自分たちをしっかり理解してくれている」と感じやすくなります。
結果として、ブランドに対する好意度が上がり、リピーターやファンコミュニティの拡大が見込めるでしょう。
ローカライズを通して製品・サービスが現地の文化やニーズにマッチすれば、現地企業と同等の競争力を持てるのがメリット。プロモーションをローカルカルチャーに合わせ、その国や地域における認知度が高まれば、キャンペーン終了後も一定の集客効果が持続します。
さらに、現地ユーザーの口コミやSNSで話題が広まれば、新規顧客が増え、長期的に市場を拡大できるでしょう。
実際にマーケティング戦略の一環としてローカライゼーションを行い、大きな成果を上げた企業の事例を紹介します。各社が「どうローカライズし、何を成し遂げたのか」を中心にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ダイムラー・ベンツは、ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト(DMG)とベンツ(Benz & Cie)が合併して生まれた自動車メーカーです。「ダイムラー」というドイツ語的な名称では国外市場で売れにくいと判断し、ディーラーは娘の名前「メルセデス」を新モデルの車名に採用しました。
そこから生まれた「メルセデス・ベンツ」というブランド名は、グローバル展開を見据えたネーミング戦略だったと言えます。発音しやすく国際的にも魅力的なネーミングを使うことで、世界各国のユーザーに受け入れられる高級車ブランドとして確固たる地位を築きました。
約1世紀経った今でも通用するほどのインパクトをもたらした先駆的ローカライズ施策です。
2011年に実施した「Share a Coke」キャンペーンでは、コーラの缶やボトルに人名をプリントするという画期的なアイデアを展開。海外での展開時には各国チームが自由にアレンジできるようにし、地元で親しまれる名前やメッセージを取り入れました。
消費者自身や家族・友人の名前が入ったボトルは、思わず共有したくなるという心理を巧みに活用。多くの国でSNSを通じて話題になり、売上も大幅に上昇。各国の名前や文化的背景に合わせて戦略をカスタマイズすることで、グローバルキャンペーンを成功に導きました。
フランスの世界的酒造メーカー「ペルノ・リカール」は、買収したウォッカブランド「アブソルート」のローカライズを実施。
性的暴行が社会問題となっているアメリカ市場に合わせ、責任ある飲酒の啓発と同意の大切さを訴求する「Drink Responsibly. #SexResponsibly」というキャンペーンを行いました。
キャンペーンは屋外広告、印刷物、デジタル広告、ソーシャルメディアなど多岐にわたるチャネルで展開されました。米国メディアで性的暴行問題が取り上げられていたタイミングを捉えたことで、多くの共感や話題を集め、ブランド認知度・好感度が高まる結果に。
地域特有の社会課題を意識したローカライズが、キャンペーンへの注目を大きく後押ししたのです。
ネットフリックスは世界190か国以上、50か国語以上に対応する映像ストリーミングサービスを展開(2025年2月時点)。字幕や吹き替えだけでなく、アプリやウェブサイトのUI、ヘルプセンターまで複数言語で提供しています。
国ごとに異なる言語や視聴環境に合わせて、ユーザーがスムーズにコンテンツへアクセスできる仕組みを整備しました。その結果、5億人以上のユーザーを獲得(2025年2月時点)することに成功。グローバルな視聴体験を当たり前にするプラットフォームを確立しています。
マクドナルドは、アジア各国で実施するキャンペーンにおいて、現地の文化やコミュニティとの深い共鳴を重視。
例えば、韓国向けにはK-POPバンド「NewJeans」とのコラボを企画し、人気チキン商品を中心にメニューや広告展開を調整しました。
また、国土が広い地域や宗教上の理由を持つ市場では、食材選びや配送方法を現地に合わせ、大々的なプロモーションを行うのではなく、コミュニティに自然に溶け込む方法を追求しています。
共感を呼ぶキャンペーンをローカル目線で作り上げた結果、SNS上での話題化やファンコミュニティの拡大につながりました。
韓国のコラボ企画が成功すると、他のアジア市場でも「自分の国にも導入してほしい」という消費者の声が高まり、キャンペーンがボトムアップ方式で周辺国へ展開。従来のトップダウン型ではなく、現場主導でプランを広げることで、各国の文化や嗜好に合った自然なローカライズを実現しています。
ニューヨーク、香港、台湾に3店ずつ店舗を展開している一蘭の事例です(2025年2月時点)。
各国のユーザーがメニューや店舗を調べやすいよう、国ごとにホームページをローカライズ。各国の言語に対応しているだけでなく、レイアウトにも工夫が見られます。日本版のホームページは縦書きレイアウトですが、海外版のホームページは横書き仕様です。
海外ユーザーが利用しやすいWebインターフェースを提供することで、ラーメン文化に馴染みのないユーザーでも抵抗なく店舗情報やメニューを理解できるように。店舗体験とデジタル体験をローカル市場に合わせて調整し、現地ファンを獲得しています。
日本で親しまれている「カルピス」を30カ国以上で販売しているアサヒグループホールディングスの事例です(2025年2月時点)。英語圏に製品を展開する際、カルピスと発音すると「cow piss(牛のおしっこ)」に聞こえてしまう問題がありました。
そのため、英語がよく使われる米国、カナダ、インドネシアの3か国では、製品名を「CALPICO」に変更したうえで販売しています。
ネーミング戦略により、英語圏の消費者にマイナスイメージを与えるリスクを回避することに成功。製品の風味や品質を正しく評価してもらうために必要なローカライズ戦略だったと言えます。
メルカリグループは、メルカリマーケットプレイス(アプリ)のソースコードをいちから書き直す「GroundUp」というプロジェクトを実施。このマンモス級のプロジェクトでは、「メルカリガイド」やアプリの英語版ローカライズも同時に実施されました。
外部に委託せず、メルカリの社員でプロジェクトを進行。テキストだけでなく、ボタンやポップアップ、キャンペーンバナーなどのデザイン要素も徹底的に英語圏仕様を追求しています。
英語版ローカライズにより、海外ユーザーがより使いやすいサービスを提供できるようになり、グローバル市場での競争力が強化されました。さらに、社内全体でアプリの理解が深まり、UXの改善や新機能の開発がスムーズに行えるようになっています。
2017年発売の韓国発のオンラインゲーム「PUBG: Battlegrounds」は、12の言語にローカライズされ、世界中で10億回以上ダウンロードされています。特定の地域に限定したマーケティング戦略と相まって、歴代で5番目に売れたビデオゲームとなりました。(2024年9月時点)
スウェーデンのMojang Studiosが開発した、サンドボックス型ゲーム。日本市場向けに効果的なローカライズを行い、大きな成功を収めました。
具体的には、日本のプレイヤー向けにチュートリアルモードを新設し、日本語を話すキャラクターがゲームの仕組みを詳しく説明。桜や障子、日本地図など、日本文化を反映した要素をゲーム内に取り入れました。
「Minecraft」は日本で幅広いファン層を獲得し、Nintendo Switch版だけで220万本以上の売上を記録するなど、大きな成功を収めています。
ローカライズのマーケティング戦略は、自社製品・サービスの海外展開を成功させるカギ。翻訳表現ひとつ、プロモーション方法ひとつで、反響は大きく変わってきます。海外ユーザーの心をつかみ、ファンを増やすためにローカライズを活用しましょう。
また、製品・サービスによって翻訳時に気をつけるポイントが変わってくるため、ジャンルや目的にあわせて依頼する企業を選定することが大切です。
このサイトは各エンターテインメント業界別に、翻訳サービスを展開・対応しているローカライズ会社について紹介しています。企業選定のご参考にしてみてはいかがでしょうか。