外国人観光客が増え、インバウンド需要に対応したいと考えている企業に向けて、ローカライズサービスの重要性を解説しています。ローカライズ会社の選び方やインバウンド向けのローカライズ成功事例を掲載しているほか、インバウンド向けローカライズを成功させる要素についても解説を掲載しているので、参考にしてみてください。
ローカライズとは、海外(または国内の外国人)に向けて商品やサービスの販路を広げるための施策全般を指す言葉。言語や文化、習慣や禁忌などは国によって違うため、ターゲットとなる国に合った対応が求められるのです。
インバウンド向けのローカライズでは、観光客が日本のサービスを快適に利用できるよう、メニュー、案内表示、Webサイト、アプリなどの情報をローカライズする必要があります。
2023年度の訪日外国人観光客は2,506万6,350人、2024年度は3,686万9,900人と年々増加。韓国、台湾、中国、香港、アメリカを中心として、様々な国籍や文化背景を持つ人々が日本を訪れています。とくに伸び率が高いのは中国とロシアで、前年比100%を超えています。
日本企業にとってこれは大きなチャンスですが、言語の壁や文化の違いは購買意欲を下げる大きなハードル。多言語化や外国人向けのサービスが追い付いていない企業は、競合他社に後れを取ってしまうでしょう。売上拡大を実現するカギはローカライズが握っているのです。
翻訳は、もともとあるテキストを他の国の言語へ置き換えるのみ。その国の文化や習慣は反映されません。
わかりやすいのがアメリカ英語とイギリス英語の違い。フライドポテトを翻訳する場合、アメリカでは「french fries」、イギリスでは「chips」と一般的に使用される表現が異なります。
このような文化や習慣まで考慮するのがローカライズです。翻訳もローカライズの一部、と考えるとわかりやすいでしょう。例えば、宿泊施設のメニューを多言語化するだけでなく、宗教や食文化に配慮した説明を加える手法があります。
インバウンド向けのローカライズでは、外国人観光客の文化的背景やニーズを理解した対応が求められます。そのため、公式サイトを確認して、実際にインバウンド市場で成功している事例や実績があるローカライズ会社を選びましょう。
ひとくちにインバウンド市場と言っても広いため、観光業・宿泊業・小売業など、自社のサービスとマッチする事例や実績がある企業を選ぶのがおすすめです。
国内外に計870以上のホテルを展開しているアパホテルの事例です(2025年1月23日時点)。インバウンド需要に対応するため、これまでにインバウンドツアーの開催やバイリンガルAEDの導入などを実施してきました。
館内案内やサービス情報は日本語中心。フロントやサービススタッフの言語スキルにもバラつきがあり、外国人宿泊客は情報を理解しづらい環境でした。
また、周辺観光情報や交通手段に関する情報の多言語化が追い付いていなかったのも課題のひとつ。外国人宿泊客の利便性をさらに向上させる目的で、ローカライズを実施しています。
上記の施策を実施した結果、外国人宿泊客の利便性が飛躍的に向上。タブレットの導入により、スタッフの業務負担も軽減されました。
岐阜県高山市は、1986年に「国際観光都市宣言」を行い、地方都市として早くからインバウンド対策に取り組んできた地域です。
高山市の人口は、2005年に近隣の市町村と合併したことで97,000人まで増加。しかし、2019年には86,000人まで減少し、その影響で総生産額も落ちている課題がありました。経済を活性化するべく、市役所はインバウンド施策を開始したのです。
これらの施策により、高山市は外国人観光客の受け入れ体制を強化。「インバウンドで稼いでいこう」という官民一体の思いが実を結び、地域経済の活性化に成功しました。その結果、約55万人の外国人観光客が訪れる地域になっています(2019年時点)。
ドン・キホーテは家電用品、日用雑貨品、食品、時計・ファッション用品、スポーツ・レジャー用品などを取り扱う総合ディスカウントストア。2024年12月31日時点でグループ総店舗数は751店にも上ります。
ドン・キホーテの店舗は、階数が多く、商品が所狭しと積まれ、通路が狭いのが特徴です。そのため、日本語表記のみで訪日外国人が目当ての商品を見つけるのは難しいという課題が。
また、免税手続きや商品情報の提供が不十分だったことも、外国人観光客の購買意欲を損なう要因となっていました。
これらの戦略により、ドン・キホーテは訪日外国人観光客にとって魅力的なショッピングスポットへと進化。2019年6月期の免税販売額は前期比21%増の500億円を記録し、訪日外国人向け売上の拡大に成功しました。
自社サービスにおける訪日外国人客の内訳を調査して、その国の特性を把握することが大切です。どの国の観光客が多いのか、直近で訪日外国人客が増えている国はあるのか、こまかくデータ分析しましょう。
また、エリア一帯における訪日外国人客の傾向を調査して、観光客の行動や消費スタイルを分析するのも賢い選択です。
文化ごとに異なる価値観やタブーを理解することが大切です。例えば、ハラール対応の食事やヴィーガンメニューの提供は、宗教的・倫理的配慮が必要な観光客にとって重要な要素。
また、写真撮影が禁じられている場所や、日本独自のマナー(靴を脱ぐ習慣など)を伝える施策を準備しておくことで、未然にトラブルを防げます。
日本特有の接客表現やおもてなし文化を多国語で表現するのは非常に難しいもの。日本文化を知らないネイティブスピーカーに依頼すると、こちらの意図がうまく伝わらない場合があります。
そのため、ターゲットとなる訪日外国人客の文化をよく知っているのはもちろん、日本文化にも精通している翻訳家に監修してもらうようにしましょう。本当に伝えたい思いや情報を正しく届けられれば、成功に一歩近づきます。
訪日外国人が多用するツール(Google マップ、WeChat、TripAdvisorなど)と連携した情報発信を行うことも大切。多言語対応のチャットボットを活用すれば、リアルタイムのサポート体制を強化できます。
ローカライズの成果を測るには、外国人観光客からのフィードバックを収集し、データを活用したPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回すことが重要です。
例えば、多言語アンケートを活用してサービスの満足度を測定し、改善点を明確化することで、より質の高いローカライズが可能になります。
予算を踏まえたうえで、自社で対応する施策と、ローカライズ会社に依頼する施策を整理して、見積もりを取ることが大切です。
例えば、sushi(寿司)やtempura(天ぷら)など、日本発祥用語のメニューを多国語化するなら、自社で対応したほうが早いかもしれません。手書きの商品ポップに多国語を追加するのも同様です。
外国人観光客が求める情報を適切に提供するため、WebサイトやSNS、アプリなどを最適化し、ターゲットに応じた情報発信を行いましょう。情報発信が効果的なプラットフォームは国によって変わるものです。
例えば、中国観光客をターゲットとするならWeChatやWeibo、欧米観光客をターゲットとするならInstagramやFacebook、東南アジア観光客をターゲットとするならTikTokやYouTubeを活用するなどの違いがあります。
インバウンド向けのローカライズには、各国の法規制やコンプライアンスへの対応も含まれます。
例えば、予約などで欧州観光客の個人情報データを扱う場合は、GDPR(EU一般データ保護規則)に準拠する必要があり、クッキーの同意取得も必要です。もちろん、日本における個人情報保護法も遵守して、観光客の個人情報を適切に管理する必要があります。
企業の抱えている課題やローカライズ会社によって対応は変わってきますが、ここでは一般的な流れをまとめています。
よくある課題と言えば、日本特有の表現(おもてなし、いただきます など)を適切に翻訳できない。チップやタトゥーなど、文化的な違いに対する対策がされていない。ターゲットとしている国で使用されていないプラットフォームで情報発信している。免税手続きを多国語したが手順がわかりづらい。切符やICカードの使い方に関する説明がないなど。
これらの課題は次の方法で解決すると良いでしょう。
| 不自然な翻訳 | ネイティブ監修+ポストエディット導入 |
|---|---|
| 文化的な誤解 | 宗教・食文化・マナーを考慮した情報提供 |
| 検索行動とのギャップ | 各国の検索エンジン・SNSで情報発信 |
| 免税・支払いの違い | 多言語案内+キャッシュレス決済対応 |
| 交通機関の不便さ | デジタルサイネージ+乗換案内の多言語対応 |
訪日外国人観光客をターゲットとする観光業では、適切な多言語対応と現地に合わせた情報発信によって収益が大きく左右されます。そのため、ジャンルや目的にあわせて依頼する企業を選定することが大切です。
まだローカライズを進めていない企業は、インバウンド需要に対応できるビジネスを構築していきましょう。
このサイトは観光地の案内などについて、翻訳サービスを展開・対応しているローカライズ会社について紹介しています。企業選定のご参考にしてみてはいかがでしょうか。