映像・動画作品を世界に展開したいと考えている企業に向けて、ローカライズサービスの重要性を解説しています。映像のローカライズを依頼する会社の選び方や映像ローカライズの成功事例も掲載しているので、参考にしてみてください。
映像ローカライズとは、映画、ドラマ、アニメ、研修動画、製品プロモーション動画などの映像コンテンツを、ターゲットとなる国や地域の言語や文化に適応させるプロセス全般を指す言葉。
主に、字幕や吹き替えの調整、映像内テキストの差し替え、視聴者の文化的背景を考慮した編集などが含まれます。
サブスクリプション型の動画配信サービスが広まり、国をまたいで様々な映像作品を見られるようになりました。その中で、ローカライズしていない映像作品はビジネスチャンスを逃しているということ。サムネイルを見て「面白そう」と感じても、母国語の字幕や吹き替えがなければ見られることはめったにありません。
グローバル化した映像業界で競争力を高めるには、映像ローカライズが欠かせないのです。
翻訳はローカライズの一部と考えるとわかりやすいでしょう。
ローカライズは、言語を別の言語に置き換える翻訳作業に加えて、文化的背景や視聴者の嗜好、さらには法的要件などを考慮して映像作品全体を調整するプロセスです。
ユーモアや慣用句、色彩の意味、ジェスチャーなど、文化によって異なる要素を適切にカスタマイズすることで、より各国の視聴者に親しまれる映像作品となります。単なる翻訳では伝わらないニュアンスを正確に伝えられる点が、ローカライズの大きな特長です。
映像ローカライズでは、作品の世界観を深く理解したうえで対象国の言語や文化を踏襲する力、ストーリーのテンポを崩さないように字幕・吹き替えを意訳する力、ローカライズした映像作品を広めるプロモーション・マーケティングスキルなどが求められます。
そのため、公式サイトを確認して、実際に映像作品のローカライズで成功している事例・実績がある会社を選ぶとよいでしょう。「映像」といっても広いため、映画・ドラマ・アニメなど、自社の映像作品とマッチする事例や実績がある企業を選ぶのがおすすめです。
映像翻訳(ローカライズ)の料金は、主に文字数単位または分単位で決まり、字幕・吹替・ボイスオーバーなどの方式で相場が異なります。変動要因として納期、専門性、付帯作業があり、会社選びでは料金だけでなく品質・実績・コミュニケーションも重視したほうがよいでしょう。
ポケモンシリーズ初の実写化となった映画「名探偵ピカチュウ」のローカライズ事例です。
本作は、2016年に発売されたビデオゲーム「名探偵ピカチュウ」を翻案し、「ダークナイト」や「パシフィック・リム」シリーズを手掛けるアメリカの大手映画会社・レジェンダリー・ピクチャーズとの共同制作によって誕生しました。
言語は英語のほか、日本語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、韓国語、 中国語(繁体字・簡体字)に対応。
世界各国のファンに受け入れられるよう、ポケモンのビジュアル表現からセリフのニュアンスに至るまで、細部にわたるローカライズが実施されました。丁寧な調整を重ねたことで、世界中から高い評価を集めています。
「BLADER」は、日本人監督の岡部淳也氏が創作した実写SFコンテンツ「スピードファイター」を基に進められた新プロジェクト。「ビジュアルローカライゼーション」と呼ばれる技術を用いてアメリカのハリウッドと合作し、「BLADER」として生まれ変わりました。
ビジュアルローカライゼーションとは、全編グリーンバックで撮影した映像の中で役者部分を差し替え、舞台設定や言語だけでなく出演者そのものを各国の現地俳優に置き換える手法です。
上記の施策により、子どもたちが地元のヒーローとして親近感を抱ける作品を手軽に生み出せる仕組みを構築。作品のコンセプトや「ビジュアルローカライゼーション」手法がグローバル視点で注目を集めました。
既にAmazonプライムやYouTubeを通じて日米2バージョンが公開されており、各国の協力者を募りながら更なるローカライズ展開を進行中です。
メアリと魔女の花は、スタジオジブリを退社した米林宏昌監督と西村義明プロデューサーが新たに設立した「スタジオポノック」初の長編映画です。
原作はイギリスの作家メアリー・スチュアート氏による児童文学。全世界でこの映画を公開するには、原作ファンに配慮しながら、初めて日本のアニメーション文化に触れる海外の子どもたちにも作品の魅力を伝える必要がありました。
特報映像はすぐにSNSで拡散され、世界各国から配給オファーが殺到。計155の国・地域で公開されることになりました(※1)。国内では2017年公開作の興行ランキング6位を記録し、北米でも同年の日本映画で興行1位を獲得しています(※2)。
まずは映像の内容をどのような手法で翻訳して伝えるかを決めましょう。ターゲット市場の視聴者の好みや視聴習慣、作品の内容によって選ぶべき手法は変わってきます。
例えば、オリジナルの演技が重視される作品では字幕が適しています。感情表現が重視されるエンターテインメント作品は、映像に集中しやすい吹き替えと相性が良い傾向。ニュース番組やインタビュー映像など、必ずしもリップシンクが必要でない場合はボイスオーバーを選ぶ選択肢もあります。
また、製品紹介動画や研修動画、プレゼンテーション映像では、専門用語のわかりやすい説明が重要になるため、補足を入れられるオンスクリーンテキストが有効です。
単純に言語を置き換えるだけだと、意味が通じなかったり、タブーに触れてしまうリスクがあります。そうならないよう、表現や意図をそのまま伝える工夫が必要です。
例えばギャグやことわざなど、直訳では意味が伝わりにくい表現は、ターゲット国の文化や習慣に合わせて意訳する必要があります。このように元のメッセージを再構築しながら翻訳する手法を、専門用語で「トランスクリエーション」と呼びます。
映像作品の翻訳に精通している翻訳家へトランスクリエーションを依頼して、文化的な誤解や不適切な表現を避け、視聴者が自然に受け止められる表現・内容に仕上げましょう。
機械翻訳や翻訳メモリツール(例:Trados(トラドス)やmemoQ(メモキュー)など)は、過去の翻訳データを活用しながら効率的に翻訳を進められる便利なソフトウェアです。大規模な映像シリーズや連続ドラマなどでは、用語やキャラクター名を統一しやすくなり、クオリティ管理にも役立ちます。
ただし、機械翻訳だけではニュアンスが損なわれる可能性があるため、最終的なチェックや微調整は必ず人間が行いましょう。
また、より多くの視聴者が映像を楽しめるよう、聴覚障害者向けのクローズドキャプション(音声情報や効果音も含む字幕)や、視覚障害者向けの音声解説(映像中の状況を音声で説明)を活用するのもおすすめです。
映像翻訳・制作の各段階で、文化的なニュアンスや字幕のタイミング、音声クオリティ、映像のテンポや字幕の見やすさなどをチェックします。
また、最終版の映像が完成したら、ターゲット市場のユーザーに近い視聴者に試写してもらい、率直な意見を集めましょう。このような確認工程を挟み、レビュー・フィードバックを反映することで、配信や公開後のトラブルを防ぎつつ、作品の完成度を高められます。
映像ローカライズには翻訳、吹き替え、字幕制作、専門家の監修、テクノロジーの導入など、さまざまな費用がかかります。初期段階で各要素の見積もりを行い、プロジェクト進行中も定期的に予算を確認しましょう。
予算内に収まらない場合は作業を細分化して、自社で対応する部分とローカライズ会社に依頼する内容を切り分けることが大切。運用費(プロモーション費用など)を含めて予算計画を立て、コストを正しく管理しましょう。
映像コンテンツに関する法規制(表現の自由、著作権、放送コード、年齢制限など)は国によって異なるもの。例えば、日本では著作権法や放送法を守る必要がありますが、アメリカではデジタルミレニアム著作権法(DMCA)やFCC(連邦通信委員会)規定を守る必要があります。
国ごとの法規制に対応しないと配信停止や放送禁止になるリスクもあるため、必ず法的専門家の助言を受けながらローカライズを進めましょう。
企業の抱えている課題やローカライズ会社によって対応は変わってきますが、ここでは一般的な流れをまとめています。
映像ローカライズを実施する際に起こり得る課題と解決方法をまとめています。
| 文化的なユーモアや 慣用表現が通じない |
現地文化に精通した翻訳者・監修者を起用 トランスクリエーションによる翻訳を実施 |
|---|---|
| 翻訳したテキストが 字幕に入り切らない |
文字数を削減できるよう意訳やパラフレーズを活用 |
| 吹き替え時に台詞の長さと 映像の口パクが合わない |
台詞を短くするために意訳やパラフレーズを活用 映像のテンポや構成を調整 リップシンク用ソフトを活用 |
映像業界のローカライズでは、言語を置き換えるだけでなく、文化的背景や視聴者の好みに合わせて作品を「再構築」が求められます。映像作品の魅力を最大限に引き出すには、作品のジャンルや目的にあわせて依頼する企業を選定することが大切です。
自社の映像作品を世界に広めたいと考えている企業は、映像業界のローカライズを通して事業展開を狙っていきましょう。
このサイトは映像作品向けに、翻訳サービスを展開・対応しているローカライズ会社について紹介しています。企業選定のご参考にしてみてはいかがでしょうか。
動画配信サービスがサブスクリプション形式で広がったことにより、今では隙間時間でドラマを楽しめるようになりました。中には日本国外の作品も多く配信されていますが、ただ言語を置き換えるだけでは不十分です。ドラマをローカライズするためには文化的背景やニュアンスなど、さまざまなポイントに注意しなければいけません。